耐震補強の税金

昭和56年以前に建築された木造住宅について、耐震性を確保するた
めに、色々な角度からの税制上の優遇措置が用意されています。

大きく次の3通りに分けて説明します。

  1. 中古住宅を買うとき・売るとき
  2. 増・改築、リフォームで耐震補強をするとき
  3. 耐震改修工事をするとき

 

1. 木造中古住宅を買うとき、売るときの税制

今までは木造住宅については、新築住宅や築後20年以内の比較的新しい物件を買う時には、所得税と個人住民税について住宅ローン減税の優遇措置がとられていましたが、良質な住宅ストックの活用と、耐震対策として住宅における減災の為の耐震改修促進のため、耐震性能のある住宅も税制優遇の対象となっています。

 イ築後20年を超えた木造住宅で、新耐震基準に適合している事が証明されていること
売主によって事前に証明書が用意されていること、買主では認められません)
 ロ.住宅の規模が、床面積が50m2以上
 ハ.取得の日から6ヶ月以内に入居し、その年の12月31日まで居住していること

次のいずれの基準で判定してもよいのですが、「ニ.建防協の青本」によるのが一般的です。

 イ.建築基準法施行令第3章及び第5章の4に規定する基準
 ロ.耐震改修促進法第8条第3項第1号の基準
 ハ.住宅の品質確保の促進等に関する法律第5条第1項の耐震等級(等級1以上)
 ニ.(財)日本建築防災協会の「木造住宅の耐震診断と補強方法」(通称:青本)に定める一般診断法か精密診断法(上部構造耐力の評点が1.0以上であり、地盤及び基礎が安全であること)

耐震基準適合証明書のある中古住宅を買った人には、状況によって色々な優遇措置が使えます。
尚、それぞれの税制には、「(1)対象の要件」のほか、その税制固有の要件が付加されます。
例えば、「イ.住宅ローン減税」の場合には、買い入れ期間10年以上の住宅ローンがあることや、年収3千万円以下であることなどです。
また、売主は、耐震改修関係費用を譲渡益から経費として控除できます。

 イ.住宅ローン減税制度
 ロ.特定居住財産の買換え及び交換の場合の長期譲渡所得の課税の特例措置
 ハ.住宅取得資金の贈与に係る相続時精算課税制度の特例措置(生前贈与)
 ニ.中古住宅の所得に係る中古住宅及び中古住宅用の土地に対する不動産取得税の特例措置
 ホ.住宅用家屋の所有権の移転登記などに係る登録免許税の軽減措置

当核建物が基準の耐震性を満たしていること(青本で1.0以上であること)を証明するものです。

証明書を発行できるのは、次の者に限定されています。

 イ.建築士事務所に所属する建築士(一級、二級または木造)
 ロ.指定確認検査機関(建築基準法)
 ハ.指定住宅性能評価機関(住宅品確法)

イ.の建築士の場合、資格だけではダメで、建築士事務所の登録が必要になります。

証明者は、お客様から提供を受けた次の書類などを活用しながら、現地で住宅の構造、
劣化の状況を調査した上で、耐震基準に適合するか判断し、適合する場合には証明書を作成します。

お客様から診断用にお借りする書類(イは必須、ロ以下はある場合でよい)

 イ.住宅の登記事項証明書
 ロ.建築確認済証
 ハ.設計図書その他設計に関する図書
 ニ.過去に行われた耐震診断、耐震改修関係書類

 

お客様に渡すもの 

 イ.耐震基準適合証明書
 ロ.証明者である建築士の免許証の写し
 ハ.適合すると判断した理由書

調査終了日から住宅の取得まで2年間です。

実費、技術料等を勘案してお客様と決めることになります。

耐震診断されている住宅が、売買及び賃貸借される場合、その契約時の重要事項説明として、耐震診断の内容を説明するこ事が義務付けられました。

      1.対象の物件
   
   2.新耐震基準
   
   3.利用できる税制優遇
   
   4.税制優遇措置
   
   5.耐震基準適合証明書
   
   6.耐震基準適合証明者
   
   7.証明の方法、書類等
   
   8.証明書の有効期限
   
   9.証明手数料
   
   10.宅地建物取引での重要事項説明

 

2.増・改築、リフォームで耐震改修したときの税制

お客様が償還期間10年以上のローンを組んで、増・改築、リフォーム工事で耐震改修工事をした時は、新築や既存住宅の購入と同様、所得税と個人住民税について、住宅ローン減税を受ける事ができます。

リフォームの場合の住宅ローン減税の要件は、次の通りです。

 イ.借入金の償還期間が10年以上であること
 ロ.その年の合計所得額が3千万円以下であること
 ハ.自己が所有し、主として居住していること
 ニ.工事後6ヶ月以内に入居し、控除を受ける年の12月31日まで引き続き住んでいること
 ホ.住宅の床面積が、50m2以上であること
 ヘ.工事費用が100万円を超えていること(ローン額は100万円以下でもよい)

確定申告時に提出する書類は、借入金の年末残高証明書、住民票など色々ありますが、
工事業者が作成に関係するものは、次のものです。

 イ.請負契約書(年月日、工事額を記載すること)
 ロ.建築確認済証の写し又は検査済証の写し(もしくは建築士から交付を受けた工事証明証)

   1.対象の要件
   2.
必要な書類

 

3.耐震改修工事をするとき

 

耐震改修の促進のために、平成18年度の創設された、画期的な耐震改修促進税制です。
税制の種類は以下の2種類になります。

   1.所得税額の特別控除(投資減税)
   2.固定資産税額の減額措置

3-1.所得税額の特別控除

お客様が、平成20年までに、一定計画区域内において、旧耐震基準(昭和56年5月31日以前の耐震基準)により建築された住宅の耐震改修を行った場合には、その耐震改修に要した費用の10%相当額(20万円を上限)を所得税額から控除できます。
この税制措置は、「2.耐震補強リフォームの住宅ローン減税」と重複して利用できます。

 イ.一定計画区域内であること
 ロ.自己の居住用の住宅であること
 ハ.昭和56年5月31日以前の耐震基準により建築された住宅で、現行の耐震基準に適合していないものであること(建築時期で判断できますが、建防協耐震診断で1.0未満)
 ニ.現行の耐震基準に適合させるための耐震改修であること

以上が税制上の基準です。

   1.制度の概要
   2.
対象の要件

しかし、この税制は地方公共団体との連携した税制であり、地方公共団体の助成を受けることが必要条件とされていますので、その要件が付加されます。

次のいずれの耐震基準で判定してもよいのですが、「ニ.建防協の青本」によるのが一般的です。

 イ.建築基準法施行令第3章及び第5章の4に規定する基準
 ロ.
耐震改修促進法第8条第3項第1号の基準
 ハ.住宅の品質確保の促進等に関する法律第5条第1項の耐震等級(等級1以上)
 ニ.(財)日本建築防災協会の「木造住宅の耐震診断と補強方法」(通称:青本)に定める一般診断法か精密診断法(上部構造耐力の評点が1.0以上であり、地盤及び基礎が安全であること)

税金関係の住宅耐震改修証明書の発行は、助成する地方公共団体が行います。
この場合、固定資産税の減額措置の証明も地方公共団体が行うことになります。
税制上では、次の書類が必要であると例示されています。

 イ.申請住宅の所在地、建築年月日が確認できる書類
   例示:登記事項証明書、建築確認済証、固定資産税の課税証明証、日付入りの耐震診断書

 ロ.耐震改修をしたことが確認できる書類
   例示:耐震改修工事の設計書、工事前後の平面図、工事後の耐震診断書、工事の写真

 ハ.耐震改修工事額が確認できる書類
   例示:耐震改修工事費用の領収書(耐震改修関係とその他リフォームと区分)

   3.耐震基準
   4.
証明者
   5.
証明書のための提出書類

3-2.固定資産税額の減額措置

昭和57年1月1日以前から所在していた住宅について、一定の耐震改修を行った場合には、その住宅に係る固定資産税(120m2相当分まで)の税額が減額されます。
減額措置の内容(新築と同様)平成21年までは、3年間、固定資産税額を1/2に減額

この税制は、広く利用されるよう、要件は緩いものとなっています。
例えば、対象区域、居住要件などの制限はありません(アパートも利用できます)。

 イ.昭和57年1月1日以前から所在する住宅であること(完工時点ですから56年ではありません)
 ロ.現行の耐震基準に適合する耐震改修であること(工事前に適合している住宅でもよい)
 ハ.耐震改修工事費用が30万円以上であること
 ニ.耐震改修工事完了後3ヶ月以内に、市区町村へ申告すること(確定申告時でない)

次のいずれの基準で判定してもよいのですが、「ニ.建防協の青本」によるのが一般的です。

 イ.建築基準法施行令第3章及び第5章の4に規定する基準
 ロ.耐震改修促進法第8条第3項第1号の基準
 ハ.住宅の品質確保の促進等に関する法律第5条第1項の耐震等級(等級1以上)
 ニ.(財)日本建築防災協会の「木造住宅の耐震診断と補強方法」(通称:青本)に定める一般診断法か精密診断法(上部構造耐力の評点が1.0以上であり、地盤及び基礎が安全であること)

証明書を発行できるのは次の者に限定されます。

 イ.地方公共団体(所得税の特別控除の証明書を発行した場合など)
 ロ.建築士事務所に所属する建築士(一級、二級または木造)
 ハ.指定確認検査機関(建築基準法)
 ニ.指定住宅性能評価機関(住宅品確法)

※ロ.の建築士の場合、建築士の資格だけではダメで、建築士事務所の登録が必要になります。

証明者は、顧客様から提供を受けた書類などを活用しながら、現地で改修工事の状況を調査した上で、耐震基準に適合するか判断し、適合する場合には証明書を作成します。

お客様から診断用にお借りする書類

 イ.住宅の所在地が確認できる書類
   例示:登記事項証明書、固定資産税の課税証明書

 ロ.耐震改修をしたことが確認できる書類
   例示:耐震改修工事の設計書、工事前後の平面図、工事後の耐震診断書、工事の写真

 ハ.耐震改修工事額が30万円以上であることが確認できる書類
   例示:耐震改修工事費用の領収書(耐震改修関係とその他リフォーム区分)

顧客様にお渡しするもの

 イ.固定資産税減額証明書
 ロ.証明者の建築士の免許証の写し

耐震改修完了後3ヶ月以内です

実費、技術料等を勘案して決めますが、設計や工事を受託しているので、お客様の負担を減らすべきと考え、当社では無料にしております。

   1.制度の概要
   2.
対象の要件
   3.
耐震基準
   4.
固定資産税額証明証の発行主体
   5.
証明の方法、書類等
   6.
証明書の有効期限
   7.
証明手数料

 

 

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